ATALANTE 腰に届きそうな豊かな栗色の髪が、春の風に揺れる。制服を着ていなければ、いい大人として見てくれるだろうか? エルは高校の制服を着て、黙って立っていた。 一人であることもさることながら、こういうときに口を開いている奴をエルは個人的に信じられないのだ。 この道、駅を少し超えた交差点で小学生の列に危うくバイクが突っ込んできただ。バイクの運転手はとっさにハンドルを切り、子供たちは大騒ぎをしてクモの子を散らすように散らばり、バイクが派手に横転しただけで、子供には何の被害もなかった。 そういえば、二日ほど前も。大破した車。運転手は呆然と車から投げ出されて、無傷自分と、原形を留めないローンだけを残した物体を見つめている。その横で、車に押しつぶされた、先ほどまで乗っていたはずの自転車の捻じ曲がったハンドルを眺める青年。二人とも真っ青で、ただただ呆然とその状況を周りの野次馬と一緒に見つめている。 これだけの惨事に関わらず、二人とも無傷なのが不幸中の幸いだ。と誰もが口にし、自転車側の不注意だ。とか、いろいろと声が上がっている。 「祟られてるのね、ここ」 誰かのせりふに、周りはそれを煽るように広がっていく。無神経な言葉が―。 だが、人が不幸に陥っている最中を傍観するものが、口を開いて語っていいわけない―エルは黙って不幸を見つめた。 何が困るって、急に生活が変わることが困る。 今までは三階に在った教室が、二階に降り、靴箱の位置も、東の端の棚に変わる。教室が変われば担任だって変わるし、クラスの雰囲気も変わる。 ただ、あの高見 瀬南とは同じクラスなのだが―。 エルは頬杖をついて窓の外を見る。今朝の事件を思い出す気は無かったが、クラスの話題に思考が乗ってしまったのだ。 「まじぃ?」 そもそもはその声だったのだが、声の主は鈴木 吏子と言って、大人しいわけでも、目立つわけでもない。なのに誰もがその名前を知っている子。確か―一週間に二人も男を変える尻軽女―だった気がする。 それでもどういうわけだか、他人に興味を持たないようにしていたエルが彼女だけは少し特別視していたのは、高校入学時に、 「エルなんて、変わった名前ね? ハーフ、じゃ無いよね?」 と声をかけてきたからだ。 それ以来、一人で居るエルを絶えず気にしている気がする。まるで、少女漫画の主人公の様に屈託なく、クラスの誰が欠けてもいけないように声をかけ、輪の中心に居ては電球の様に明るい子。 エルにはそれがたまらなくまぶしく、たまらなく煩かったが、性格的に嫌いになれないで居た。 尻軽女。と呼ばれた出したのは、先月の中ごろだった気がする。なぜそう呼ばれ始めたのか理由に思い当たる節など無い様に、吏子は以前どおり明るかった。 化粧っけのない顔、唇はそれこそ血色が悪くて紫を帯び、綺麗に丸く切りそろえられた爪に、二つで結んだ髪型。 「じゃぁ、その人は?」 話を聞くと、吏子はほっと胸を撫で下ろし、 「なんかさぁ、陰惨な事件が多いじゃん。子供が被害者になるのって、ヤだよね」 吏子の言葉にエルは吏子を見た。クラスの大半がその言葉を「偽善者」か、嘘っぽいと非難したような目で見ていたが、エルだけは違った。 ―(事件のこと)なんか、知ってる― 昼休み。エルは屋上で一人で過ごすことが多い。そこに吏子はたまに姿を現しては、一人だけ喋る。 煩いのだが、排除する気は無かった。それは今は持てないと思っている友人と過ごす希少な時間と言う物を持たさせてくれる時間だったからだ。 「それでさぁ、うちのお母さんたら……、やだ、あたし職員室に呼ばれてたんだ、ごめん」 慌しく弁当を片付け、走って校舎に消える。 エルが長く息を吐く。―まったく、一人だけで賑やかな奴― 「鬼になるな、アイツ」 瀬南だ。 逆光に立っているのでその顔がまぶしくて見えない。まるで後光を背負っているかのようだ。すらっと伸びたシルエット。それがエルの側に近づき、フェンスを掴んだ。 「今日は居ないねぇ」 死神のことを言っているのだろう。瀬南はフェンスをかちゃかちゃと揺らす。 エルは返事しなかった。だが、「鬼になる」と言う言葉の真意が知りたくて瀬南を見上げたままだった。 「聞きたかったらちゃんと聞きな。黙っていても誰も解からない」 「おおよそ見当はついてるんだろ? 【あれ(死神)】がお前は怪しい奴だといった。あたしもそう思う」 「あれ(死神)に言われてちゃお終いだな。まぁいいさ。解かってるよ、なぁんとなくね。鬼になるって言うのはどういうことかって話だろ?」 瀬南は陽気で能天気なクラスに居るときの顔から、すっと、本来の無表情に変わった。目の奥にある黒い玉が妙に威圧するようにエルを見る。 「鬼になると言うよりも、鬼になっているかな。早くどうにかしないとね。おっと、チャイムだ」 「待て、」 エルが手を伸ばしたが瀬南は軽やかに校舎に滑り込み、階段を下りて行った。 ―鬼って、なんだよ。何かを知っていて隠している様子なら解かったが、鬼って、―エルは右親指の爪をぎりりとかんだ。 霊感が強くて昔から変な物は見えていた気はする。だけど、それを追っ払う術を知らなかった。ただ、見てみぬ振りをしていたある日、「あの人」にあった。そしてこの妙な力を得た。 それ以来、解かるのだ。霊的な何かを。だから吏子が何かを知っていて、しかも関わっていることも解かった。 下校。 吏子はその現場を興味本位だと笑って向かった。エルが尾行するには帰路だと言う点でよかった。 「あ、エル、駅のそばまで行く?」 頷くエルに吏子は腕を組み、 「じゃぁ、一緒に行ってくれない? あなたも見たの? 今朝の事故」 エルは頷くだけで、吏子だけが喋りっぱなしだった。 事故現場には、バイクのテールランプやら、カウルの破損した物がまだいくつか残っていたが、朝だったこと、人通りが多く、目撃情報の一致から、鑑識が片付けていかなくて済んだようだ。 「すごい、まだ残ってる」 残骸を目にして吏子の言葉は冷ややかになった。 エルはゆっくりと吏子を見る。事故の様相に蒼白しては居るが、それだけで、後は変わりなかった。 「ねぇ?」 吏子は誰かに声をかけるように小さく言葉を出した。 「昔の日本でさぁ、安倍清明って人が居たじゃない、変な格好の。あの人たちがさぁ、地面に生贄を埋めて通る誰かの命を狙うって話し、聴いたことない?」 吏子の言葉にエルは黙って吏子の横顔を見ているだけだった。 「変な話よね、そんなことできるはず無いんだもの。あ、ありがと。それから、あたしべつに事故後マニアじゃないから。でもこんな身近で事故なんてめったにお目にかかれないじゃない。だから来ただけだからね。ほんと物騒だよね、気をつけなきゃ」 吏子はそう言ってエルに手を振ると背中を向けた。 ―ああ、こいつは本当に何かを知ってる。いや、この不慮の事故を引き起こしたのは、こいつかもしれない― 「見通しがいい場所の事故は、必ず何かしらの「要素」が落ちている物さ」 吏子の足が止まり、振り返る。 だが、エルはすでに歩き出していた。 真夜中を少しばかり過ぎた頃、エルはあの駅側の交差点に向かっていた。 今日のような新月は、格別いい気分だ。そういう声があちらこちらから聞こえる。 現代の犯罪がいくら多種多様かし、複雑化しようともなくならない憎悪だとか、愛憎に巣食う物はそこここに居る。改めてうざったく思えるその数に、エルはため息をつきながら向かった。 一応の繁華街は、真夜中営業できないためにすっかりと寝静まって犬猫すら居なかった。 ―居ないだろうよ― どこからともなく「死神」が現れる。 個人的思考で行動するときに、こいつと会うのは不愉快だ。と言う熱視を送るエルに、死神はさも「口笛」でも吹いているかのように顔を背ける。 だんだんとこいつの骨だらけの顔の表情が解かるのが腹立たしい。 気分を害した。と言うため息をつくエルの肩に死神は停まり、鎌をそのマントで拭う。 ―まぁ、そう気にせんと。はよ、行きまひょ― 指示に従うことが嫌いなのは、死神の所為だ。とエルは思う。妙に権力や力を感じる。学校の教師の指示に従うのが癪なのも、その所為かもしれない。 エルが交差点につくと、突発性竜巻が巻き上がった。 ―獣贄(いけにえ)― 動物を生きたまま、または不慮死の動物を手荒に葬ることで怨念を溜め、ある特定の物を呪う術。平安時代に良く見られた呪いの一つで、神経質だった頃では効果があったが、今ではさほどの効果はないとされる。それに、不幸として傷つく動物がこう多くては、いちいち悪霊にもなれないのだろう。徘徊している霊は多いが。 辺りを見回すが、土がない以上どこを掘ったら当たるのかわかりゃしない。だが、その呪詛の強さは、新月の闇の中で更に増幅している。 先週―学校が春休みだったというだけ、今日は始業式だった―此処を通ったときには感じなかった。それが一週間でこれだけの力を得るのは、余程の念を溜めておかないと増幅はしない。 「なんだぁ?」 男の声に振り返る。 見知らぬ男だ。刺繍入りのジャンパーを羽織り、トランクスを半分も見せてズボンを履いている。おかげで―足、短っ―。 「夜中にいけないお嬢ちゃんね。……? その制服は、城条(じょうじょう)高校の制服? そう言えばあの女もそうだったなぁ。知らない? 尻軽女」 ぶわっと風が舞い上がる。 (あの子の力) エルは男よりも竜巻のほうを見た。戦闘体制に入っているのはその気配で解かる。この男には何も感じないようだ。 「兄さん、いいことを教えてあげる。あと、三十年で死ぬよ」 「はぁ?」 男はげらげら笑う。交差点に響くその声。耳さわりな音と、それが出している息。 「本当さ」 エルの手に五つのビー玉があった。 「惜しいねぇ、めでたく最長寿者になれたのに」 エルは一個ビー玉を落とした。 ぱりん。とまるで薄いガラス球が壊れるように粉々に砕け散る。 男が胸を押さえた。 「肺がん。性病。交通事故。種類は幾多あるだろうけど、確実に三十年後の今日死ぬには、その時を狩ればいい」 ビー玉を落とすエルに男が手を伸ばす。 「ま、待った。なんかしらねぇが、胸がくるしぃ、医者、呼んでくれよ」 男が膝まづく。 ―見え透いた嘘―いや、ビー玉を落としたのだから多少の痛みはあるだろうが、それもすぐに消える。おかしな物だ。エルの力を知っているからそうしているのではない。この雰囲気と、エルの漆黒の髪が巻き上がって、多分、吏子の怨念が幻影でも見せての効果だろう。 「汝の邪悪なりし後生を狩る。われ時の狩人なり」 ビー玉がエルの手から落ち、ぱりんぱりんと音を立てて割れて消えた。 男は蹲り動かなくなるのを他所に、エルはその場を立ち去った。 あの気配が逃げていく。それを追って行ったのだ。 真夜中の住宅地は、中で安住をとる者とは比べ物にもならないくらい不気味で、静かだった。 気配は吏子の家に吸い込まれていく。あの気配はやはり吏子の物で、あの贄獣(いけにえ)は吏子が仕掛けた物だ。 だが、吏子にその意識はない。有るのはただただいやな気配だけだった。 それに触発された庭に埋めている犬の屍が鬼へと移行した。その気配を感じた吏子が鬼に移行したとしてもおかしくはない。普段、何気なく過ごしていたのは、この力は吏子が眠っている間でしか発動しないようになっていたからだ。 エルは握りこぶしを作った。 時の狩人は、鬼になる前の邪心や邪念を吸い取る。それはその人の糧や、源だったりするから、そしてそれらは生命に宿っていることが多く、だから魂の欠片といわれるあの玉を取り上げ、浄化されるまで壊すのだ。魂の欠片は、生命のもと。つまりそれが無くなると言うことは、その人の寿命がそれだけ減るということ。それが「人殺し」と違うという意味がわからない。 そして、時の狩人は、鬼になる前の人間のときを狩る物であり、時刈 五郎がもっとも得意とした鬼の浄化にはなんら力を発揮しないのだ。よって、鬼に移行している吏子を狩ることなど出来ないのだ。 だが、鬼となった吏子がまずするのは、あの連中を根絶やしにすること。それ以外想像がつかない。 あの連中―。尻軽女と呼ばれる所以を作った連中。吏子はたった一人で苦悩し、たった一人で復讐をしようとしている。いや、それほど強いわけではないだろう。何かにすがり、助けを求めた結果が、【鬼】となったならば、それは、不幸だ。 エルは学校へ向かった。 居る確証は無かったが、家を知らないし、奴の気配は絶えず学校からしていた。だから向かった。 学校が見えてくる頃、屋上に人影が見える。それが瀬南であるとエルにはすぐに解かった。 南京錠の掛っている筈の門がエルがその前に来るとすっと開く。玄関も鍵が開き、エルが進むべき階段の一部だけが、ぼっ。ぼっと明るくなる。 導かれるようにエルが屋上に上がれば、瀬南がそこで微笑んでいた。その綺麗過ぎる【無】を与える笑みにエルは心底えぐられる様な心痛を受ける。 「やぁ、こんばんわ」 不似合いな挨拶をする瀬南に、エルが口を開こうとした瞬間、息を潜めていた様だった死神が慌てて目の前に現れた。 ―考え直せ― 「そうだよ、考え直したほうがいい」 瀬南の綺麗な唇が弓を描く。 ―アイツは、……、関わったらお前、― 死神の言葉を制するように、まるでハエを追い払うように手を振ると、 「あの子を助けたいんだ。あたしの力では鬼に変わった彼女を救うことは出来ない。お前はあの子が鬼に変わると解かっていた。その力を持っているからだろう? あの子を助けたいんだ、じゃ無いと、あの子は連中をひとしきり殺したあと、ただの殺人鬼に変わってしまう。唯一、あたしの存在の意味を肯定してくれた、生身の人間のあの子が……」 エルはそう言って俯いた。 こんな言葉を出せるほどまだ情熱は失っていなかったようだ。涙も冷たい頬を暖かく流れるし、自分もまだ人間であると感じる。 誰かのために、誰かとともに生きたいが為に何かをすることなど忘れていた感情。人の時を狩れると解かった時点で人と関わらなかった。誰かが傷つく姿を見るのは嫌だ。それが知り合いで、大事な人ならなおさらだ。だからそんな人を作らなかった。 ―でも、あたしもまだまだアオいな― 「あたしは、あたしは」 「構わないよ。ただ―」 瀬南は街のほうを向いた。 街はまだ少し明るい。瀬南はまっすぐに指を差す。 「どうなろうと、一切文句は言わない。いいね?」 やわらかな風の音に似ていた。 すっと心の隅まで浸透する声にエルは頷いた。 エルがふと目を開けると、太陽は昼間近の位置にあり、学校は今日もやたらめった賑やかだった。 「気がついた? 来る途中で倒れたって、えっと、そうそう高見君? 彼が背負ってきたのよ。かなり歩いたんじゃないかしら? 汗がびっしょりだったわよ。ダイエットもいいけど、ちゃんと朝ごはんは食べてこなきゃね?」 保健員の先生はそう言ってカーテンから覗いた顔を引っ込めた。 (倒れた? すでに昼……。何?) エルは右手親指の爪を噛んだ。 以前時を狩った人間が同じように倒れ、起きたときと同じように記憶が途切れている。でも、吏子のことを頼んだことも、その後、瀬南が承諾したことも覚えている。だが、そのあとがない。時間にして九時間か、十時間ぐらい―。 「よぅ」 瀬南がひょうきん朗らかな声でカーテンをはぐった。 「まったく、いきなり倒れるは、背負ったら重いはで、お前、もうちょっと痩せろよ」 げらげらと、あの上っ面な瀬南が続けざまに喋る。 「静かにしなさい、一応、保健室なんだから」 「へぇ。あ、先生昼行ってきていいですよ。どうせ、こんな奴といい雰囲気にはならないから」 瀬南の言葉に教師は笑いながら、「じゃ、お言葉に甘えて」と出て行った。 だが、今なら解かる。あれは瀬南の力だ。瀬南の言葉に従うような、だが誰も服従している意志のまったくない見えない力。まるで― 「具合は?」 「大丈夫よ」 ゆっくりと起き上がる。その視界にボタンが二つ外された襟が見える。 風がゆっくりと吹き抜け、外ではしゃぐ声はするが、保健室の一角に人の気配はない。まるで隔離された空間だ。 「君が言っていた鈴木 吏子だが、」 瀬南は言葉を切った。 「あまり、縁起のいいことではないのね」 エルは外を見た。 土煙るグランド、まだまだ薄い太陽の光。 エルの頬に涙が伝う。 なんとなく、瀬南が了承した時から解かっていた気がする。吏子が鬼になった以上、もう、最終的な結果しかないことを。 「ありがと」 エルは俯き、そのエルを置いて瀬南は保健室を出た。 扉を閉めたそこに死神が瀬南を斜に見ながら浮いている。 「側に居てやれ、お前でも助けにはなるだろう」 瀬南はそこを離れた。 ―らしくありませんね― 瀬南は屋上に上がっていた。気分が滅入る時は出来るだけ高い場所に居たいのだ。そうすれば体に空の青が混ざり言ってリセットされる気がするのだ。 姿の見えない声に瀬南は鼻で笑う。 ―人の頼みごとなど、― 「所詮は無意味、不誠実な上、身勝手で、つまらない物だ。ああ、つまらなくて、醜い」 ―それなのに、あの女の?― 「心変わりと言う奴かな。と言いたいが、解かっていたのさ、結果が。だから了承した。彼女にはどんな結果になろうとも構わないと言う約束をたててね。私との約束は絶対だからね」 瀬南は空を仰いだ。 (まったく妙な物だ) 瀬南は自分が行った先ほどの真実を思い返し再び笑った。 吏子の葬儀は静かで、人気のないものだった。 エルはそこに現れた。 祭壇の写真が「エルっ」と微笑んでいる。 「あのぅ」 吏子の母親らしい。そっくりだが、目を赤く腫らしてやつれた人がエルに手紙を渡した。 「これ、吏子から。宛名があったから。あなたにだと」 エルは受け取り、母親が無言で示す「中身を教えて欲しい」の言葉に封を切った。 エルへ 変わった名前のエル。あなたのその静かで、大人しくって、だからすごく冷めたところがあたしはうらやましかった。すごく大人って感じがして。 でも見方が変わったのは、あなたがいつも一人で居ること。あなたは本当にきょくりょく人とのかかわりを持たなかったわよね。虐められているわけでもないし、皆も避けているわけではないのだけど。 お節介だと思っているかもしれないけど、もしかしたら、あなたは一緒になって騒ぎたいのだけど、何かブレーキみたいな物を掛けてるんじゃないかと思って、だから誘ったのよ。 だって、あたしとあなたは生涯唯一の親友になれるべき存在だと思うもの。 とはいえ、もう無理―。 あなたの耳にも入っているかしら? あたしが穢れた事を―。 どんなに洗っても、どんなに拭き取っても決してそれはきれいにはならないの。きれいになるてだては、解かってる、もう、行かなくちゃ、ありがとう友達で居てくれて あなたの親友リコより エルは静かに手紙を破き、それを風に乗せて捨てた。 終 |
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